誉の日記的物語

日記がてら書きたい事を好き勝手に書いています。 小説を書いており面白い小説がかけるようになりたいと、構成などはちゃめちゃですが書いてます。 読んで頂けると嬉しいです。どんな事でも意見貰えると助かります。

物語・小説置き場

籠り物語 シーズンⅡ

素直ではない自分を一番良くわかっているのは自分自身で、どうしても無邪気になれない若者。 心の中では勿論嬉しい気持ちもあるのだけれど、何がそうさせたのか卓は今一感情を表に出す事が上手ではなかった。 雪山でのシーズン幾度となく顔を合わせるであろ…

籠り物語 シーズンⅡ

その後、ガミくんとフリーランを数本流し仕事に戻る時間が近づいてきた。「僕これから仕事なんでこのまま上がって親のはらの方まで流します」「わかったよ。じゃあまた逢ったらぜひ」ガミくんが声をかけたのに対し卓は軽く振り向いて手を挙げ、目当てのリフトへ…

籠り物語 シーズンⅡ

そんなマニアックな追及を日々黙々とこなす卓の事などお構いなしに、リフトに一人のスノーボーダーが滑り込むように相乗りしてきた。 「すいません、突然」スノーボーダーにしては礼儀は欠かないタイプなのだと、少しホッとした卓だった。「さっきハン3滑ってる…

籠り物語 シーズンⅡ

パンパンになった足をクールダウンするように緩やかに緩斜面を惰性で流す卓はえらく満足そうな立ち振舞いに見えた。 卓は珍しくフラットバーンをこよなく愛するグラトリライダーの集うコースへと降りてきた。なんのきっかけもないはずのフラットバーンも、彼…

籠り物語 シーズンⅡ

少し寂しさを感じるゴンドラを後に卓はゆったりと、自分の感覚と雪面を感じとるように目的のコースへと滑った。 そこは荒れ果てた不正地のような状態でモーグルコースのように至るところにコブができていた。普段からモーグルコースが好きでモーグラーに憧れ…

篭り物語シーズンⅡ

中間駅へと一気に滑った卓は、足元が甘い感覚を感じひとまず滑りこむ事にした。いつものパウダーばかりを滑るのではなく、斜度がきつく荒れがちな通称ハン3を流す事にした。 中間駅から再びゴンドラへ乗り目当てのコースへと向かう事にした。年末に居た頃と…

篭り物語 シーズンⅡ

ハイシーズンの白馬、卓が戻ったタイミングは絶好のパウダーチャンスだった。狙いは山頂からのパウダー一択で、他には目もくれずそのコースへと向かった。 昼頃のためコースは既にトラックが何本も入り喰われ放題となっていた。だが、卓はそんな事は気にも止…

篭り物語 シーズンⅡ

安堵と安心感からか卓はもう少し康めしをおかわりし、滑りに行く事にした。卓の中のモヤモヤは少しずつだが着実に晴れていく。 久々の白銀の世界に降り立った卓の背中は少し大きく見えた。卓は大きく息を吸い込む。肺のなかを切り裂くような冷たい空気が充満…

籠り物語 シーズンⅡ

「なにせ仕事の事は心配せんでえぇから安心しよし」「わかりました。ありがとうございます」「ほんで例の彼女はどうなったん?」チカさんは悪戯な笑みを浮かべ卓に尋ねた。 卓はたまにチカさんや康之さんにそういう話をしていたのだ。 「あぁ、別れてきました。腹く…

籠り物語 シーズンⅡ

久々の康めしはやはり絶品であった。 少食の卓は普段一般男子の半分程の量しか食べないのだが、康めしの時は大皿に大盛りをぺろりと食べるのだ。 「あんたほんまにこれだけはようさん食べるでなぁ。普段からそんだけ食べたらこっちも作り甲斐があるんやけど」「…

籠り物語 シーズンⅡ

時計の針は12時近くを指していた。神戸屋の安心感にすっかり寝入ってしまっていた。 一眠りし、すっかり元気になった卓は今度こそ滑りに行く準備を始める。「ガタン、卓起きてるか?昼飯食うか?」康之さんの声だ。急いで屋根裏のはしごへと近寄り下を覗く。「…

籠り物語 シーズンⅡ

今回は到着日時と大体の時間を神戸屋へと伝えていたため、バスで到着した時には見覚えのあるバンが既に卓を待ってくれていたのだ。 車へと近づきドアを開けると康之さんだった。「ただいまです、朝から迎えありがとうございます」そう言って車へと乗り込んだ。…

籠り物語

「まぁせやな」卓も微笑した。 このやりとりのおかげで空気は少し和らいだ。「中途半端な気持ちで関係を続けるのはなんか違う気がすんねん。白馬に行ってせっかくスノーボードにも集中できる環境やし。この中途半端にミホを繋ぎ止める時間も勿体ない時間にな…

籠り物語

テスト最終日の夜行バスで再び白馬へと戻る予定なのだが、今回の大阪での最大のミッションが今日残されていた。 テストを終え家へと帰った卓はひとまずゆっくりする事にした。 夕方頃から彼女と逢う約束をしていた卓は、先に白馬へと戻る準備を終わらせてそ…

籠り物語

大阪での学校生活へと戻った卓は日々退屈な学生生活を送っていた。 卓は中学の頃から学校が好きでは無かった。友達とも普通に遊ぶし部活もする、しかし、家で一人ゲームをしている時間が一番幸せな時間だった。 何の刺激もない学校生活を淡々とこなし、3年生…

籠り物語

フロントのチカさんを呼びに行き皆で夕食を食べた。 卓はそれほどゆっくりしている時間が無かった。 神戸屋はこれから宿泊客の夕食が始まる。卓はオーナーに夜行バスの乗り場まで送ってもらう事になっていた。 車で送ってもらう道中「学校頑張っておいでや、…

籠り物語

帰り支度を済ませ荷物を持って下へと降りた。 自分のために夕食の準備をしてくれている厨房へと行き、いつも通り準備を手伝った。 「そういえばタカシも学校ちゃうの?」「俺は明日帰るよ」「そうか、また来るんやろ?」「そのつもりやで」タカシも同様に卒…

籠り物語

新年からいつもと何ら変わりのない籠りの生活を日々過ごす。しかし、卓は三学期がまだ残っているので、一旦大阪へ帰らなければならない。その日が着々と近づいてくる、帰りたくないのだが仕方ない。 残りの日を無駄にしないよう日々の仕事を一生懸命こなし、…

籠り物語

盛大な宴の後の朝、卓は意外にもスッキリと目覚めた事に驚いた。それもアラームがなるよりも早く目が覚めたのだ。身体は重たいが頭はスッキリとしていた。 ひとまず煙草に火をつける。昨日の彼女からのメールを思い出し開いた。 メールには卓を祝う言葉と、…

籠り物語

オーナーが持ってきたワイン確かに美味しかった。 意外と楽にグラスのワインを飲み干した時、卓に異変が起きた。 卓のすぐ側でゆうきが遊んでいたのたが、ふとゆうきの方を見ると、ゆうきがぐるぐると回って見えたのだ。「やば、何これ」 それから辺りを見て…

籠り物語

かといってオーナー一人だけでも充分過ぎる強敵だった。 テーブルのピッチャー二つは瞬く間に空になる。オーナーは水を飲むよりも早いペースでビールを流し込む。 オーナーがグラスにビールを注ぐペースで卓のグラスも満たされる、卓はあっという間に酔いが…

籠り物語

「雪村君の誕生日を祝って。乾杯」「カンパーイ」それから神戸屋での卓の誕生日兼年越しパーティは始まった。 物珍しいドンペリにワクワクしていた卓だったが、飲んで見ると美味しい物でも無かった。自分の舌が子供なのだろうが、テレビで見るホストクラブの…

籠り物語

テーブルにはオードブルやおつまみ、ピッチャーに入ったビールが二つ。その他にも豪華に用意されていた。 年越しのパーティに誕生日の祝いを盛り込んでくれたのだった。 突然、 「まだビール注いだあかんで!」そう言ってオーナーが何かを思い出したように部…

籠り物語

風呂道具を部屋へと置いてすぐにパブリックスペースへと向かった。 電気はついておらずまだ誰も居ない様だった。 パーティの準備でもしているのかと厨房へと様子を見に行く事にした。しかし、厨房にも誰も居ない。宴会している宿泊客の声が館内に響いている…

籠り物語

夜の仕事も終わり宿泊客は年越しムードで盛り上がっている。そんな光景を横目に風呂へと向かう。 途中康之さんが居た。「後で皆で年越しそば食べるで」「あっはい。わかりました」卓は年越しらしい雰囲気を味わえるのだと少し嬉しい気持ちになった。 宿泊客…

籠り物語

年も暮れに近づき年末年始の休暇に入りゲレンデは大にぎわいとなった。 普段並ぶ事の無いゴンドラにも長蛇の列ができており、いつものように何本もゴンドラを流す事ができない程だった。 それでも、雪は降り続き極上のパウダーとなったゲレンデを卓が放って…

籠り物語

オーナーが持ってきたワイン確かに美味しかった。 意外と楽にグラスのワインを飲み干した時、卓に異変が起きた。 卓のすぐ側でゆうきが遊んでいたのたが、ふとゆうきの方を見ると、ゆうきがぐるぐると回って見えたのだ。「やば、何これ」 それから辺りを見て…

籠り物語

気分が乗らず珍しく直ぐにペンションへと帰った卓は、気分を紛らわそうとパブリックスペースで漫画を読む事にした。 普段は小説等の活字しか読まない卓だが、小説は持ってきておらず、神戸屋には漫画しか置いていなかったのだ。 仕方なく棚にずらりと並んだ…

籠り物語

部屋へと戻り当たり障りの無いメールを彼女へと返信した。ひとまずはこのまま乗りきろうと思っているのだが、感情の無い虚しい付き合いの時間を彼女に強要しているようで複雑な気分だった。ベッドでそんな事を考えながら眠りについた。 それからクリスマスま…

籠り物語

夕食のセッティングを終え小休止を取っている時、康之さんが「卓彼女おらんの?まぁおってもお前やったら置いてでも来るわな」笑いながら卓に言った。 なんてリアルタイムな質問なんだと卓は思いながら「一応居ます、そして、まさに置いてきてます」苦笑いす…