誉の日記的物語

日記がてら書きたい事を好き勝手に書いています。 小説を書いており面白い小説がかけるようになりたいと、構成などはちゃめちゃですが書いてます。 読んで頂けると嬉しいです。どんな事でも意見貰えると助かります。

籠り物語

気分が乗らず珍しく直ぐにペンションへと帰った卓は、気分を紛らわそうとパブリックスペースで漫画を読む事にした。


普段は小説等の活字しか読まない卓だが、小説は持ってきておらず、神戸屋には漫画しか置いていなかったのだ。

仕方なく棚にずらりと並んだ漫画から、なんとなく背表紙で選び読み始める。
読んでいる様で話は全く入ってこない。

 

すると、カップルがパブリックスペースへとやって来た。宿泊客だ。


「こんにちは、ここって使ってもいいんですよね?」
カップルはベッタリとくっつきながら卓に聞いた。
「大丈夫ですよ、自由に使って下さい」
そういって卓は部屋を出た。
「ここもかよ。昼寝でもしよ」
ぶつぶつ言いながら屋根裏へと戻った。

 

お客さんにカップルが居る事ぐらいは想定内だったが、ここまで気分を掻き乱されるとは思ってもいなかった卓は、仕事が終わり風呂もさっさと入り、屋根裏からこの日は出る事は無かった。

 

少しの負の要素が卓の脳内へと顔を出すと、繊細で敏感すぎる卓の気分は平静を保てなくなってしまうのだ。

まだ高校生のナイーブな部分なのか、ガラスのハートなのか、性格の問題なのか。


肝心のスノーボードでも気分が晴れないのだから卓にはどうする事もできず、ただただ聖夜の苦しみが過ぎ去るのを静かに待っていたのだった。