籠り物語 シーズンⅡ
その後、ガミくんとフリーランを数本流し仕事に戻る時間が近づいてきた。
「僕これから仕事なんでこのまま上がって親のはらの方まで流します」
「わかったよ。じゃあまた逢ったらぜひ」
ガミくんが声をかけたのに対し卓は軽く振り向いて手を挙げ、目当てのリフトへと既に向かっていた。
久々に誰かとスノーボードをした卓は新鮮な楽しさを感じたが、申し訳ない気持ちも同時に抱いていた。
誰かと滑る事は確かに楽しいのだが、卓は同程度に、自分の滑りを妨げる事無く、むしろ必死になるぐらいの相手でない限り自分をあげる事はできないと感じてしまっていた。
プラスとマイナスが入り交じった、少し居心地の悪い気分を吹き飛ばす様にノンストップまで最終地点へと滑り降りた。
少し早めの時間にバス停へと到着した卓は煙草を咥えながらブーツを緩め一服しながらガミくんとの一時を思い返していた。