篭り物語シーズンⅡ
中間駅へと一気に滑った卓は、足元が甘い感覚を感じひとまず滑りこむ事にした。
いつものパウダーばかりを滑るのではなく、斜度がきつく荒れがちな通称ハン3を流す事にした。
中間駅から再びゴンドラへ乗り目当てのコースへと向かう事にした。
年末に居た頃とはゲレンデにいる客層はがらりと変わり、篭りの人間ばかりが山に残り若いライダー達が多く居た。
馴れ合うように滑るグループ、卓のように黙々と滑るライダー、様々なタイプの篭りがゲレンデには居た。
卓はそんな篭りの人間と相乗りする事になった。
無口な卓はイヤホンをしたまま音楽を聞きぼぉっとしていた。
そんな卓を他所に何やら盛り上がっていた。
それでも卓は空気のようにそこに居た。
「スノーボードしに来てるし仲間とか別にいい」
そんな事を心の中で呟く卓だった。
少し羨ましさを感じた卓だったが、まるで自分に言い聞かせるようだった。