籠り物語
新年からいつもと何ら変わりのない籠りの生活を日々過ごす。
しかし、卓は三学期がまだ残っているので、一旦大阪へ帰らなければならない。
その日が着々と近づいてくる、帰りたくないのだが仕方ない。
残りの日を無駄にしないよう日々の仕事を一生懸命こなし、毎日全力でスノーボードに明け暮れた。
この時卓は、ただ帰りたくないだけではなく、彼女の事を片付けなければならない、そんな重い悩みも抱えていたのだ。
そんな卓の気持ちとは関係無くその日は訪れる。
朝の仕事を終え、いつも通りスノーボードを終え神戸屋へと帰る。
大阪へ帰る準備をして、一度オーナーの部屋へと挨拶に行き、今日で一度帰りまた来る事を伝え厨房へ向かった。
そこで康之さんにも同じ事を伝えた。
最後にフロントに居たチカさんへ挨拶へ行った。
一通り挨拶を終え部屋に戻ろうとした卓をチカさんが呼び止めた。
「今日はもう夜は休みでいいからゆっくりしとき、晩御飯早めに準備するから食べていきよし」
「いいんですか?」
「何言うてんの、当たり前やんか」
卓は改めて神戸屋の人の暖かさを感じ、帰るのが余計に寂しくなった。
「ありがとうございます」
そうお礼をして部屋へとまた戻った。