籠り物語
テーブルにはオードブルやおつまみ、ピッチャーに入ったビールが二つ。
その他にも豪華に用意されていた。
年越しのパーティに誕生日の祝いを盛り込んでくれたのだった。
突然、
「まだビール注いだあかんで!」
そう言ってオーナーが何かを思い出したように部屋を出て行った。
直ぐに戻ってきたオーナーの手にはワインの様なボトルが握られていた。
「これな、きみの誕生日って聞いたから我慢して置いといたんや」
そう言ってラベルを見せてくれた。
卓はテレビで見たことのある名前に反応した。
「これがドンペリってやつですね」
すかさずオーナーは
「テレビでホストがよう騒いでるあれや」
にやりとしながら教えてくれた。
「せやけどな、あれはホストの値段やから、実際はそない高いもんやないんやで」
そう言って豪快に開け放った。
卓はオーナーの勢いに圧倒されながらも、自分の誕生日を理由に我慢しておいたという特別感が嬉しかった。
全員のグラスにドンペリが注がれていく、卓はお祝いとドンペリという未知の液体にワクワクしていた。
だが、ここで思い出して欲しい、卓は誕生日を迎えたとは言えまだ19歳、未成年だという事。