誉の日記的物語

日記がてら書きたい事を好き勝手に書いています。 小説を書いており面白い小説がかけるようになりたいと、構成などはちゃめちゃですが書いてます。 読んで頂けると嬉しいです。どんな事でも意見貰えると助かります。

おかんへ書く手紙 (完)

あの時はさすがにもう終わりやなぁって思ったわ。それでえぇ思ってたし。まぁ何はともあれって感じやな。

 

永遠は今おかんの実家である北海道の登別に住んでいる。
じぃちゃん、ばぁちゃん共に居なくなって家を引き継いで住むためにこっちへ引っ越したのだった。

この家は永遠にとって思いでのたくさん詰まった家でそのまま無くなるのは嫌だと、なかば強引に引き継いだ。


おかんも無くなるのは寂しいと言っていたし、おかんの姉もできれば残したいという思いもあったのでそれも後押しした。
しかし、永遠が強引にでもここを残さなければと思う一番の理由はおかんのためだった。

 

俺がこっちに住むって言うた時おかんはきっと理由わかってたんやろ?
おかんの帰れる場所を確保するためやって。
俺がこっちおったらこっち来ても1人ちゃうしいつでも来れると思って決めたんや。
まぁ今となってはちょっと状況ちゃうけどな。

 

永遠はあたまを抱えながら手紙を書く。

 

隣の家とのいざこざの話、ほんま厄介やでな。
いきなりこの道車で通るなって50年経ってから言うか?|笑て《わろて》まうよなほんま。
年末実家帰った時にその話した時、おかん俺に
「もうえぇよあの家守らんで。あんな嫌な人住んでるしこんな厄介な話聞いてもう住みたいと思わへん。あそこ帰るぐらいやったら家借りて出ていくわ」って言うてたな。
正直まぁまぁ面倒くさい相手やからその言葉聞いてちょっと肩の荷が降りたんよ。頑張らんでもいいんかなぁって。
「もういいから近くに帰ってきて欲しい」泣かす気か。
「まぁひとまずどうなるかわからんしばぁばの三回忌までとりあえず様子見よか」俺が言っても
「まぁなぁ、でももうえぇからな」って。
本間に戻る気ないんやなぁって思った。

 

それからこっち帰ってきてしょっちゅう思うけど、ここにいる意味、守る意味ってあるんかなぁ?俺ここに住んどきたいって本間に思ってるんか、じぃじとばぁばはどう思ってるんかなぁって。

 

せやけど、ふとじぃじとばぁばが死んだ時の事思い出したんや。
じぃじの時は倒れて手術して、もう意識戻らんかもっていう状態で俺がすぐ北海道行くか迷ってた時に
「急がんでもえぇよ、じぃちゃん待ってくれてるはずやから」
それで俺一週間後に飛行機取ったら間に合わんかった。
あん時死ぬ程後悔したんやんか…意識無いかもしらんけど、すぐ行ったら生きてるじぃじと最後に会えた、生きてるじぃじに顔見せてやれたって。

 

ばぁばの時はそれがあったから絶対にって思ってたけど、ばぁば急性心筋梗塞でまた会えずやったし。

 

その事思い出した時に悩んでた事がなんかパッと晴れた気分になってわ。思い出の場所は確かに残したいその気持ちは変わらん。
でもそんな事よりもおかんの側でおかんが俺に逢いに来れるぐらい近い所に居て、なんかあったらおかんの所に直ぐに行ける。その事の方がこの家を守る事よりも2億倍大事ちゃうかって。

 

せやから落ち着いたらここはどないするかわからんけど、近くに戻ろかなって考えてるんやわ。
なるべく近いうちにな。

相続やらしてもうた後やからややこしいかもしらん。おとんがまたその事で絡んで来るかもしらん。
それでもおかんの側に居てやれればいつでも俺の所来れるし、俺がややこしい事受け止めたらえぇだけやし。

まぁ今のところそんな感じ。

 

おかんもそない若くない歳やから体調管理気をつけて。


たった一人の世界で一番大事な愛すべきおかんへ。
おかんが愛する永遠より。

 

永遠の目は少し涙で滲んでいた。 (完)