誉の日記的物語

日記がてら書きたい事を好き勝手に書いています。 小説を書いており面白い小説がかけるようになりたいと、構成などはちゃめちゃですが書いてます。 読んで頂けると嬉しいです。どんな事でも意見貰えると助かります。

幸せの白い犬 ⑩

おとんは順調に回復していく、だがハッピーは少しずつだが確実に様子がおかしくなっていた。

散歩の時に痛がる例のあれが家の中で走り回るだけで起こるようになったのだ。
それだけではなく、何も無い所で突然転けるようにもなっていた。

フローリングなので滑るのだろうと、頻繁に足の裏の毛をカットするようにしていた。

 

「やっぱりおかしいよなぁ…足腰弱くなってきたんかなぁ…」誉はおかんに問いかける。
「妙に痛がるしそれだけじゃない気はするけどどうなんやろう?」とおかんが心配そうにしている。

この時は、きっとおじいちゃんになって来たのだろうと心配はするものの深刻には捉えていなかった。

 

それから、転ぶ回数も増え少し動きもゆっくりになり走り回る事はほとんど無くなってきていた。

そしてもう1つ気がかりだった事が、ハッピーはおしっこもしなくなっていた。

誉は毎日心配で心配で家に居る間は常に寄り添っていた。

 

ある日誉はハッピーの側でおしっこのような匂いを感じた。
だがハッピーは特に漏らしている様子もない。

ふと、ハッピーの口臭が少し変わっている事に気がついた。
ハッピーの口から微かにだがおしっこの臭いがしていたのだ。

誉は何かのテレビで見た尿毒症という病気の名前が浮かんだ。

まさかとは思いつつもおかんとすぐに病院へと連れていく事にした。

 

動物病院でハッピーは診察を受ける。

病院で獣医の先生は臭いを確認しただけで
「尿毒症やねぇ…かなり症状進んでるかもわからん、腎臓病やわ…」

誉は頭が真っ白になった。
「腎臓病って…おとんのやつやん…」とぼそっと呟く。
「ハッピーはどうなんですか…?」おかんが先生に問いかける。

「ひとまず薬で様子見よう。しっかり水を飲ましてあげて。後はこの子の生命力次第…なんとかおしっこ出してくれたら少しはましになると思う」医師も暗いトーンで告げる。

「そうですか、わかりました。」おかんも暗い。

誉は涙が止まらない。

するとおかんが
「まだ泣いたあかん、ハッピー頑張ってるんやから!」おかんも泣きそうになりながら誉を元気づけた。

「そうやな。」誉は自分を奮い立たせる。
「ハッピー頑張ろな!絶対元気になってや」誉は涙を拭いながらハッピーの頭を撫でて語りかけた。

ぐったりとしたハッピーを家へと連れて帰る。

 

ハッピーの暴飲暴食は腎臓病を示唆する物だったのだと誉はこの時初めて気がついた。


誉は電気を消して布団に入る。

もっとハッピーを気にかけてやっていれば、少しでもおかしいと思った時にすぐに病院に連れてやっていれば、そんな後悔が誉の頭の中をぐるぐると巡る。

堪えていたものが汲み上げてくる。


この日誉は一晩中泣いた…まくらがびしょ濡れになるほど…