誉の日記的物語

日記がてら書きたい事を好き勝手に書いています。 小説を書いており面白い小説がかけるようになりたいと、構成などはちゃめちゃですが書いてます。 読んで頂けると嬉しいです。どんな事でも意見貰えると助かります。

幸せの白い犬 ⑨

ハッピーの異変が誰も気づかぬうちに進行していたのだが、それとは別の大事件が平戸家を襲う事になる。

 

うちのおとんは昔にIGA腎症という慢性型の腎臓病を患っていた。

当時は医者に
「あんた恐らく30で死ぬよ」と宣告されていたのだ。
だが今も60を過ぎ健在である。

その腎臓病の薬や、体調を崩した時に必ず掛かり付けの医者、松下さんに行っていた。

 

ある日松下さんへ行ったおとんは松下さんに
「そろそろいっぺん消化器系検査しといた方がえぇんちゃいますかね?」と言われた。

おとんは素直に
「じゃあ見といてもらいます」と検査を受けた。

その検査結果に平戸家は愕然とした。

おとんに癌が見つかったのである。

 

松下さんの話では胃に腫瘍が見つかったとの事だった。

幸いかなり早期の発見であり、すぐに手術すれば大丈夫との事でおとんはすぐに、大阪市内の有名な病院に入院し手術をする事になった。

 

松下さんの言う通り早期であったため手術に成功し、幸いどこにも転位は見られず、その後の放射線や抗がん剤といった辛い治療もせずに済んだのである。

癌にはなってしまった物のこんなに予後が良好なのは奇跡以外の何物でもないと誉は思った。

 

おとんの病院にお見舞いと手術の説明を聞くために家族みんなで病院へ向かった。

医師から説明を受け実際に切除した胃を見せられ少し驚いた。
おとんは胃の三分の二を切除したのだ。

退院したおとんは胃切除の代償としてダンピングという症状に苦しむ事になる。


ダンピングはダンクシュートのダンクという意味から来ており、胃に入った食べ物が小腸へとダンクシュートのように流れ込む事によって起こる症状でとても苦しい物らしい。

物をちびちびと食べるぐらいしか予防方法は無く、気を抜くとダンピングが起こり時々苦しんでいた。

 

そんなおとんは経過観察のために定期的に病院へ検査に行っていたのだが、そこで二度目の奇跡が起こる。

胃の経過観察のついでに腎臓の検査も一緒にしたのだが、腎臓の機能が完全ではない物の回復してきているとの事だった。

 

おとんの腎臓はほとんどが死んでいて回復の見込みはないと告げられていた。
これには医師も驚いていた。

 

ダンピングにこそ苦しめられていたおとんだが、経過はとても良く、なに不自由無く日常生活へと復帰しめでたしめでたしといった所だった。

 

誉は、こんな奇跡的な回復を見て何か説明のできない神秘的な力を感じずにはいられなかった。


誉は
「神様は見てくれてるんやろなぁ」と心の中で呟き晴れた空を見上げ目を閉じた。