誉の日記的物語

日記がてら書きたい事を好き勝手に書いています。 小説を書いており面白い小説がかけるようになりたいと、構成などはちゃめちゃですが書いてます。 読んで頂けると嬉しいです。どんな事でも意見貰えると助かります。

幸せの白い犬 ③

大阪に戻ってから家族とハッピーは笑顔の溢れる日常を過ごしていた。
文字通りハッピーが幸せの使者の役割を見事に果たしていたのである。


誉は毎日学校から帰るとハッピーの散歩に行く。
ハッピーは散歩が大好きで、玄関にかけてあるリードを取る動作をするだけで、興奮して玄関でくるくる回りながら吠えるようになっていた。

犬の聴覚の鋭さには本当に驚かされる。
家族で会話している時に散歩というワードが出るだけで興奮してとりかえしがつかなくなる程だった。
そうなってしまっては期待させてしまったこちらが悪いと罪悪感にかられ、しぶしぶ散歩に行く事もあった。

 

この日も誉はハッピーに向かって
「散歩行く?」と弾むようにハッピーに語りかける。
待ってましたと言わんばかりに誉に飛びつく。
飛びついてきたハッピーをキャッチし抱きながらリードをつける。
そうしないとくるくる回りながら興奮しているハッピーにリードをつける事ができないからである。

 

いつもの散歩コースを周り終えて団地の下に帰ってきた時の事だった。

誉の手からスルッとリードが抜けハッピーが道路に向かって一目散に走っていく。誉には走ってくる車が見えていた…

誉は咄嗟に段地中に聞こえる程の大きな声で
「ハッピー待て~!!」


道路に出る寸前の所でハッピーはピタリと止まった。
誉は半べそだった。

走って戻ってくるハッピーを震える手で抱き締めた。

 

ハッピーはいつも公園のような囲まれた空間では、リードを外してやり走り回らせてあげていたのだが、外には絶対出ないように躾られていた。
ハッピーからすれば道路に出る行為が囲まれたスペースから出ると解釈して止まったのか、誉の叫びで止まったのかはわからない。

 

何にせよハッピーが無事で本当に良かった。
誉はまだ震えていた。